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クリニックが新型コロナウイルスにどう対応すべきか?

2020/03/19
こんにちは。
人財定着コンサルタントの大村です。


今日は、新型コロナウイルスに関連して
社員を休業や自宅待機させる場合の対応や
受給できる助成金についてお伝えします。


厚労省のホームページでも
対応に関するQ&Aが出ていますが、


結論は、


「休業に関しては労使でよく話し合って決めてください」


となっているだけなので、


実務的にはなかなか取扱いが難しいのが
現実です。


ただし、法律的な解釈があるので
それに沿った対応をしていただき、


くれぐれも違法にならないように
気を付けていただきたい


ということで、
この場で重要なポイントを解説します。


まず、新型コロナウイルスに関連して
職員を休業させる場合に気を付けることですが、


賃金の支払いに関しては
個別事案ごとに総合的に勘案すべきですが、


労働基準法第26条では、


「クリニックの都合で職員を休ませる場合には
休業手当として、
給与のおよそ6割を支払わなければならない」


とあります。


ただし、


「不可抗力による休業の場合は、
クリニックの責に帰すべき事由にあたらないため、
休業手当を支払う必要はない。」


ともあります。


となると、新型コロナに「感染した方」を
休業させる場合


休業手当は支払わなければならないのか


ということになりますね。


例えば、ライブハウスなどにいって
新型コロナウイルスに感染してしまった


という場合は
使用者の責に帰すべき事由による休業には
該当しない


と考えられますので、
休業手当を支払う必要はありません。


この場合は、賃金は支払われませんが、
健康保険から「傷病手当金」といって
給与のおおむね2/3が支給されます。


ただし、4日目からしか出ないので
最初の3日間はどうするのかという
問題はあります。


そこで、3日間は特別コロナ休暇制度を
設けるという方法であったり、


本人の希望により
有給休暇をとってもらう


という場合もあるでしょう。


では、感染した方ではなく、
「感染が疑われる方」については
どうかという点ですが、


ここの判断が一番難しいです。


例えば、職員から


「ちょっと熱っぽいんですけど」と
言われたとき、


院長先生が


「他の職員にうつしてもらっては困るので
自宅待機してほしい」


と言った場合は、


使用者の自主的判断で
休ませることになるので、
休業手当を支払わなければなりません。


では、職員から
「発熱があるので休みます」という場合は
どうなるでしょうか。


この場合は、通常の病欠と同じ取扱いに
してもいいですが、


クリニックで、


「毎日、検温して37度を超えるようなら
出勤しないでほしい」


というお触れを出した場合は
使用者の都合になるので
休業手当を支払う必要は出てきます。


このように使用者都合で休業させる場合は、
休業手当を支払う必要がありますが


クリニックによっては、
テナントとしてショッピングモールなどに
入っている場合もあり、


働きたくても働けなくなる


ということも考えられます。


ただ、この場合は微妙なので
個別事案となり、労使で検討が必要となります。


また、コロナに感染の疑いがある職員に
有給を取ってほしいという話もよく聞きますね。


有給というものは、原則職員の請求する時季に
与えるものなので、


クリニックから有給で処理してほしい


ということは違法になります。


ただ、休業補償だと
おおむね給与の6割しか出ないので


有給だと100%出るため
自分は有給にしたい


と職員から申し出もあると思います。


この場合は、有給で休んでもらっても
問題ありません。


このように、店舗閉鎖や売上ダウンなど
クリニック都合で休ませる場合は


賃金の6割以上の支払いは必要になりますが


助成金で支払った賃金の一部は
補填できます。


その助成金というのが


「雇用調整助成金」


になります。


この新型コロナウイルス対策の
助成金については


今後、次々と要件が緩和されたり
新たな支援策が出てくることが
予想されますので


現時点での情報


ということになります。


この雇用調整助成金は、
コロナ対策で新しくできた助成金ではなく


以前よりあった助成金です。


リーマンショックや東日本大震災など
想定外の事由により


景気が非常に悪くなる場合に
企業としては雇用の維持が難しくなります。


そこで事業主を支援することで
リストラや解雇をせずに
休業手当などで雇用の維持を
図ってほしいという趣旨で支給されます。


また、この助成金は、
必ず持ち出しがあります。


ただでもらえて
資金繰りに使えるというものではありません。


売上減少要件がありますが、
売上を補填するものでもありません。


雇用の維持が目的となります。
雇用調整助成金に特例が出ました。


特例措置とは4つあります。


1、計画届の事後提出が可能


助成金は通常事前に計画届が必要ですが
このような非常事態のため、


令和2年1月24日以降に初回の休業がある
計画届については


5月31日までに出せば
事後に出してもいい


ということになります。


2.生産指標の対象期間が通常3か月のところ
1か月に短縮


生産指標とは、簡単に言えば売上高になります。


最近1か月の売上高、販売量が
前年同期に比べて10%以上減少していれば
対象となります。


例えば、2019年2月と2020年2月で比較して
売上が10%以上減少していれば対象。


3.最近3か月の雇用指標が対前年比で増加して
いても対象


雇用指標とは、従業員数(雇用保険の被保険者数
及び受け入れている派遣労働者の数)のことです。


これも最近3か月の平均値も見ていきますが
今回は増加していても大丈夫です。


4.事業所設置後1年未満の事業主についても対象


昨年の11月くらいから事業を開始していれば
対象となります。


特例対象となる経済上の理由についてですが、
当初は、中国との取引売上に限定されていましたが
要件が撤廃されました。


例えば、ショッピングモールのような場合は、


国や自治体等からの市民活動の自粛要請の影響により
外出等が自粛され、客数が減ったために
事業活動が縮小された


という理由であれば、
ほとんどが該当すると思われます。


このような状況なのでコロナウイルスの影響かどうかの
線引きは難しいので


直近1か月の売上が昨年と比べて10%以上減少した
場合、直接・間接を問わずコロナウイルスの影響と
考えられるので対象となりえると思われます。


受給額は、中小企業であれば
休業手当を支払った場合や休ませずに教育訓練を
行った場合、


1人あたり8,330円
支払った金額の2/3


教育訓練を行った場合は、
1人一日あたり1,200円加算となります。


ただ、手続きはかなり複雑なので、
事業所でされてもいいですが、


ご依頼いただければ
申請代行をお受けいたします。


事業所でされる場合は、


休業であれば、
賃金台帳の整備や


教育訓練を行う場合であれば
その風景の写真を撮っておくといいでしょう。


この助成金は、
不正受給が多いため、


労働局から実地調査も入りますので
協力することが支給要件になります。


それともう一つ、


政府から小学校等を休業するという
指示があり、


小学校等のお子さんを持つ親御さんは
お子さんの面倒を見るため


仕事を休まなければいけなくなった場合の
休業補償という助成金です。


こちらの助成金は、
先ほどの助成金のように
事業主に支給されるものと違って


職員に支払われるもので
クリニックが代わりに手続をするという
助成金です。


新型コロナウイルスの感染拡大予防として
臨時休業した小学校等に通う子


または


風邪症状で新型コロナウイルスに感染した
おそれがある子


を持つ親(正規・非正規を問わず)に対し、


令和2年2月27日から3月31日の間に
有給休暇とは別に


賃金全額支給で休ませた場合に
支給されるものです。


対象者が限定されていますので
コロナの疑いがあって休んだすべての人が
対象になるわけではありません。


支給額は、
賃金総額の全額支給ですが、
上限が8,330円と決まっています。


たとえば、薬剤師や看護師の場合は、
時給も高いため、
1日にすると1万円を超えることもあるでしょう。


その場合も8,330円を超えて
全額支給しなければならないため、
この助成金を使うべきかどうかは
慎重に検討されたほうがいいでしょう。


最後までお読みいただき
有難うございました。

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